「このフルートのメロディーのなかには、たしかに一種異様なところがあった。それは音階のヒズミともいうべきもので、どこか調子の狂ったところがあった。そしてそのことが、この呪いと憎しみの気にみちみちたメロディーを、いっそうもの狂わしく恐ろしいものにしているのである。」
放送期間:1977年6月25日~7月23日 全五話
放送時間:毎週土曜、22:00~22:54
放送局:TBS系
原作:横溝正史
監督:鈴木英夫
脚本:石森史郎
出演:古谷一行、沖雅也、江原真二郎、草笛光子、檀ふみ、長門裕之、岩崎加根子、星正人、観世栄夫、加藤嘉、中山麻里、原泉、白石幸子、三崎千恵子、児島美ゆき、野村昭子、森次晃嗣、長門勇、早川保
【 解 説 】
銀座の宝石店で発生した強盗事件をきっかけに、金田一耕助の前から次々と重要人物が姿を消し…。
この原作を読む時、戦後の闇市や買い出しといった事が最低限 予備知識としてあればこの上ないでしょう。逆にその時代の生活感というものを後世に残し伝えるには、横溝正史が多くの原作で描いた東京と岡山、信州、伊豆…といった地方の戦前戦後の風景や生活感は この先何十年後には 物凄く貴重な文献になると思う。
前作:三つ首塔
次作:獄門島
【 内 容 】
昭和22年9月28日、金田一耕助の元を訪れたのは、この春、世間をにぎわした天銀堂事件の容疑を受け失踪し、4月14日、信州霧ケ峰でその遺体が発見された椿英輔・元子爵の娘、美禰子(みねこ)だった。
「……父はこれ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ないのだ。由緒ある椿の家名も、これが暴露されると、泥沼のなかへ落ちてしまう。ああ、悪魔が来りて笛を吹く。……」
父が残した遺書を持参した美禰子は、母・アキ(火片に禾)子が父らしい人物を目撃したと怯えていることから、父が本当に生きているのかどうか、明晩、砂占いを行うことになったことを説明した後、金田一耕助にその砂占いへの同席を依頼する。
そしてその砂占いの後、椿邸に居候している玉虫公丸・元伯爵が何者かによって殺されてしまう…。
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