「横溝正史シリーズⅡ・真珠郎」

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「血の匂いがする!やがて、みんなの周りには血の雨が振るだろう…。」

放送期間:1978年5月13日~5月27日 全三話
放送時間:毎週土曜、22:00~22:54
放送局:TBS系
原作:横溝正史
監督:大州齋
脚本:安藤日出男
出演:古谷一行、大谷直子、岡田英次、中山仁、原田大二郎、早川絵美、長門勇、加藤嘉

【 解 説 】

  金田一耕助の登場しない原作に出番を加え、ドラマならではの横溝ワールドを構築した、「横溝正史リーズⅡ」第2弾。

蔵の中に閉じこめられ、殺人鬼として育てられた真珠郎という謎の美少年の連続殺人事件を描く。謎解きと耽美的な世界が融合する美しい一編となった。

 乱舞する螢の中、怪しく佇む真珠郎が青白く光る場面は圧巻。

前作:八つ墓村

次作:仮面舞踏会

【 内 容 】

 昭和23年、城北大学の英文科講師椎名肇(原田大二郎)は、東洋哲学を先行する同僚乙骨三四郎(中山仁)に、大学の窓の外に見える雲の形が、サロメが持つ「ヨカナンの首」に見えると叫ぶ。 椎名の神経衰弱を心配した乙骨は、彼を誘って、信州鳥越湖畔の鵜藤家に泊まりに出かける事にする。 機関車を降り、岩田村行きのバスに乗り込んだ二人は、奇妙な風体の男が乗り込んで来るのを見る。

 東京では食えないと、当地にある玄妙寺の住職の元を訪ねる金田一耕助(古谷一行)であった。 その住職は、彼の遠縁に当るのだと言う。 その後、出発したバスは、白いバラの花を一輪持ち、マスクで顔全体を隠した無気味な老婆を途中から乗り込ませる。 その老婆は、椎名たちに向って「血の匂いがする!やがて、みんなの周りには血の雨が振るだろう…」と、予言めいた言葉を残し、さっさと、一人で降りてしまう。
 その老婆の行為に好奇心を掻き立てられたのか、金田一もその後を追ってバスを降りるが、草むらの中でスグ荷姿を見失ってしまう。 バスの運転手が椎名たちに言うには、あの老婆は、数年前から、村の近くで小屋掛けで住むようになった不思議な人物なのだと言う。

 東京で生物学を学んでいた鵜藤(岡田英二)と、彼の姪の由美(大谷直子)の二人暮しをしているという屋敷の近くに到着した椎名と乙骨は、屋敷に附随している望楼を遠目に発見する。 その由美に迎えられ、屋敷内に招き入れられた二人は、このあまりにも広すぎる屋敷が、かつて遊廓であった建物を、鵜藤の父親が、明治の中頃、当地へ移転させたものだと聞かされる。 そんな酔狂な事をした祖父も変人のように思えたが、椎名らが挨拶を言うため面会した鵜藤自身も風変わりな人物に見えた。 その顔半分は、醜い痣に覆われ、今では身体も半身不髄で、ほとんど寝たきりの生活なのだと言う。

 ある日、乙骨と連れ立って、ハイキングに出かけようとしていた椎名は、水筒を忘れた事に気づき、独り、屋敷に取って返すが、由美を探す内に、彼女が、誰もいないはずの倉から、お膳を下げている現場に出くわし立ちすくむ事になる。 由美の方も、思わぬ所を目撃されて氷ったように動けなくなってしまう。 誰か、倉の中にいるのか?
そんな二人の疑念を払拭させるかのように、その夜、由美は二人に声をかけ、問題の倉の中に案内する。 その部屋は、かつて、病気になった花魁たちが入れられていた部屋だったのだそうで、その隅にある杉戸には大きなしみがこびりついており、それは、惚れた客から無理心中を迫られ、斬られた花魁の血の痕なのだと言う。 しかし、その夜、椎名たちは寝床で寝つけない夜を過ごしていた。

 そして、そんな深夜、水音に気づいて、窓の外を眺めた椎名と乙骨は、湖畔の柳の下に不思議な人物が建っているのを目撃する。 その人物は、女性のように美しい絶世の美男子で、全身緑色の不思議な衣装を観にまとっていた。 さらに、その青年は、周囲を舞っている螢の一匹を口の中に入れると、不思議な事に、彼の身体全体が螢火のように蒼く光るのだった。

 翌朝、その事を、何気なく鵜藤に伝えた椎名は、相手がひどく驚愕するのを見る事になる。 この不思議な事柄を、探偵の金田一に知らせようと出かけた椎名は、ブレーキのかからない自転車に住職(加藤嘉)と相乗りをした金田一が坂を滑り降りて来る所に出くわす。 一応、金田一にこれまでの顛末を説明した椎名は、その後、湖に、乙骨と一緒にボートをこぎ出すが、いきなり、浅間山の大噴火に巻き込まれ、命からがら岸へ戻って来る。 その時、二人は、鵜藤家の望楼で、あの美青年が、鵜藤氏と由美を斬り付けている様子を目撃したので、慌てて屋敷に戻るが、そこには、気絶した由美の姿しかなかった。

 鵜藤氏の姿を探していた二人の前に、又しても、いつぞやの老婆が出現し、鵜藤の死体は、あの妖し気な青年が小舟に乗せて、逃げ水の淵と言う洞窟のある島へ運んで行ったと聞かされ、ちょうど通りかかった住職に金田一を呼んで来るように頼むと、自分達は、二艘のボートに分かれて湖に乗り出す。 由美と一緒のボートに乗った椎名は、乙骨のボートに遅れて、その場所へ到着するが、洞窟内の岩肌に乙骨のものと思しきマフラーを見つけ、近づくと、そこに怪我をして倒れた乙骨と、その側に、首を切断された鵜藤の死体を発見する。 恐怖でおびえる由美を抱きしめながらも、椎名は、別のボートが自分達のいる岩場に近づいているのに気づき、目を凝らすと、そこにはあの老婆が乗っており、振り向くと、その顔はあの美青年の顔だった。 さらに、その青年は、鵜藤の生首を手にぶら下げたかと思うと、それを湖に投げ込んで、自らもボートと共に姿をくらましてしまう。

 その頃、日和警部を伴った金田一が、現場へ急いでいた。 事件現場の「逃げ水の淵」は、洞窟の中に二つの入口から水が流れ込んでいる場所。 その中央にある島にたどり着いた金田一たちだったが、日和警部の目の前で、鵜藤の首なし死体が流されてしまう。

 事件後、鵜藤家の屋敷から、雨の中、金田一を呼びに出かけようとしていた椎名は、すぐに、警官に出会ったため、使いを頼み、すぐ帰宅するが、その時、由美が、怪我をして寝ていたはずの乙骨に無理矢理抱かれている現場を目撃してしまう。 乙骨に訳を尋ねると、二人はすでに結婚の約束をしていると言う。その後、あの不思議な美青年、真珠郎の謎が、由美の証言によって明らかになって行く。 真珠郎と呼ばれるあの青年は、この屋敷の倉の中に20年間も、殺人鬼になるために鵜藤から育てられていたと言う。 鵜藤は、東京での勉強期間中、恩師の妻である愛子と言う女性を好きになってしまった。 しかし、彼女から拒絶された鵜藤は、その理由が、自分の容貌的な醜さにあると確信し、その復讐として、必ず、将来、拒絶できないくらい美貌の男を愛子に差し向けて、その本心を暴き出してやると決心したのだ。

 その後、玄妙寺の住職が探し出して来た音蔵(藤原鎌足)という、数年前まで、鵜藤家で雇われていた爺やの証言によると、真珠郎の両親は、鵜藤が、男女別々に、屋敷に連れて来た人間であって、無理矢理、二人を同じ倉の中に閉じ込めておき、二人の間に赤ん坊が生まれると同時に、又、別々に追い出したのだと言う。 いわば、人間ペスト菌培養と言うか、容貌の美しい子供に、徹底的にあくの教育を仕込んで、殺人鬼としての純粋培養を試みた結果が、あの真珠郎なのだった。
 
 昭和6年から、彼の記録が写真と共にノートに残されていたが、不思議な事に、最近の写真だけが剥がされていた。 やがて、東京に戻るため、駅に向う途中だった椎名は、村近くの小屋で、老婆が警察から逮捕させそうになる所に出くわす。 しかし、その老婆は、いつか見たあの妖し気な老婆とは明らかに別人のようであった。 さらに、椎名は、待ち受けていた由美とも出会う。

 逃げ水の淵での、熱い抱擁と口づけを交わした仲だっただけに、その後の、唐突な乙骨と由美との結婚話は椎名を混乱させたが、そんな自分との別れを惜しむかのような今の彼女の態度もげせなかった。 東京に戻って来た椎名は、由美と結婚した乙骨が、東京の吉祥寺に新しい住まいを持ったとの連絡を受取るが、もう遊びに出かけるつもりはなかった。

 しかし、その後、椎名は車に乗っている時、横に並んだ別の車の中に、あの真珠郎が乗っているのを目撃する。
 さらに、由美から呼出され、自分も意外な所で真珠郎を見かけたと、新聞社の前の掲示板に張られている一枚のニュース写真に案内される。 確かに、その写真には、乙骨と由美を取り巻く群集の中にいる真珠郎ぬ姿が写っていた。 そうした椎名の行動は、金田一と日和警部によって、見張られていた。

 真珠郎の目的は、東京にいる愛子夫人殺害と見込んだ日和警部は、その屋敷を訪ねて行くが、意外な事に、当の愛子夫人は、昨年結核で亡くなっていた事実を知る。 それからしばらくして、乙骨との間のわだかまりも溶け、彼の家に遊びに出かけた椎名は、その夜、屋敷内に泊めてもらう事にするが、その晩、由美夫人の悲鳴を聞き目を覚ます。 しかし、椎名の部屋のドアには、何故か外から鍵がかかっており、鍵穴から外の様子を覗いてみると、あの真珠郎が由美を襲っているではないか。 ドアはどうやっても開かず、窓には鉄格子がはめられているため、椎名が外に出る事は出来なかった。 ただ、窓の外に積もった雪の中を、由美の身体を抱えて去って行く真珠郎の姿をみているばかり。

 その後、何とか、ドアを破り、警察に連絡したものの、由美の首なし死体が発見されてしまう。 その際、負傷していた乙骨は、その後、麻布の方へ独り引っ越してしまうが、その乙骨から、電話をもらった椎名は、彼の断末魔のような声を聞いて、慌てて駆け付ける。 しかし、その新しい部屋には、乙骨の惨殺死体が転がっていた…。

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