ドラマアカデミー賞 ‘2001
■第28回( )
最優秀作品賞
「HERO」 フジ系 青森から転勤してきた、経歴も服装も型破りな久利生検事(木村拓哉)。どんな事件も徹底的に調べ、真実に突き進む久利生の活躍を中心に、彼に感化される城西支部の人々のようすも描いた群像劇。笑いあり感動ありほのかなラブありで、全話視聴率30%超えを成し遂げ、連ドラ史上の“HERO”に。
主演男優賞
木村拓哉 「HERO」 フジ系 間の取り方や、被疑者によって微妙に変わる接し方、通販グッズを楽しんだり、舞子(松たか子)を起こさないよう気を使う際のリアルな動作など、随所に木村ならではの芝居センスが光った。多かったカメラ目線で、彼の強烈な目ヂカラも再認識。
主演女優賞
水野美紀 「女子アナ。」 フジ系 テンポのいいコミカルな演技と、引き締まったシリアスな場面とのメリハリがすばらしく、主人公とともに喜怒哀楽を楽しんだ。着ぐるみも披露した体当たりの演技にも拍手。“水野時代”の到来を期待。
助演男優賞・女優賞
窪塚洋介 「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」 TBS系 N.Y.暮らしが長いという設定に沿った、少し英語なまりのある発音が絶妙。役によって全く表現が異なるのに常に“窪塚らしさ”と存在感を発揮するあたりに非凡さを感じる。キザなセリフや動作もナチュラルなのがすごい。
深津絵里 「カバチタレ!」 フジ系 専門用語満載の啖呵(たんか)も、恋より仕事優先のツライ女心を吐露(とろ)するのも、長ゼリフを一気にまくし立て、毎回“見せ場”をつくった。怒り、甘え、グチ…声色の変化や芝居がかった身ぶりさえ、強くて弱い女を共感たっぷりに表現。
主題歌賞
「Can You Keep A Secret?」:宇多田ヒカル 「HERO」 フジ系 楽曲自体のもつパワーが抜群なうえ、アップテンポなのに哀感漂うボーカルで、毎回、見終わった後の余韻をかみしめさせた。
■第29回( )
最優秀作品賞
「Love Story」 TBS系 編集者・美咲(中山美穂)と人気作家・永瀬(豊川悦司)の、恋に不器用な2人の恋物語。モテ男・鍋友(香取慎吾)と、都会にあこがれて上京してきた香乃(優香)の恋を描いたサブストーリーも秀逸。事件やカセでなく空気感で楽しませるあたり、センスあふれるセリフともども北川脚本らしい優しさとせつなさに満ちていた。
主演男優賞
長瀬智也 「ムコ殿」 フジ系 スターとしてのクールでカッコいい面と、実はダサくて誰よりも熱い面とのギャップをデフォルメ加減も絶妙に熱演。妻・さくら(竹内結子)とのバカップルぶりでも笑わせた。泣きながら訴え、家族に勇気を与える場面の迫力が特に光った。
主演女優賞
星野真里 「新・星の金貨」 日本テレビ系 実力派としてさまざまな役をこなしてきた星野だが、ストレートに感情をぶつけるまひるの思いを、手話と表情だけで痛烈に伝え、見る者を圧倒した。前作とは違う気の強いヒロイン像も新鮮。ひまわりのような笑顔やせつない表情が印象的。
助演男優賞・女優賞
香取慎吾 「Love Story」 TBS系 いいかげんなだけでない、鍋友の内にある“骨”の部分を体温の低いまま絶妙に演じ、天性の芝居センスを発揮。“永遠の少年”的一面、存在感ともに脱帽もの。
富田靖子 「昔の男」 TBS系 実力派の富田が、夫の不倫に苦しむ妻・マリ役で初受賞。昔の女に夫を奪われる恐怖や浮気相手・あかり(藤原紀香)への憎悪、陰で妨害する陰湿さ、良妻ぶりのアピール…、どれも異様なまでの迫力に満ち、話題をさらった。憎しみをたたえた笑顔や、苦悩ゆえのうつろな目が圧巻。
主題歌賞
「遥か」:スピッツ 「Love Story」 TBS系 美咲(中山美穂)と康(豊川悦司)の不器用な恋を優しく盛り上げた。ドラマの世界観を壊さない草野マサムネのボーカルが主題歌にハマることを証明する、同部門3度目の栄冠に。
■第30回( )
最優秀作品賞
「救命病棟24時(第2シリーズ)」 フジ系 天才外科医・進藤(江口)が、チームワークの悪い港北医大救命救急センターで復職し、さまざまな患者と向き合っていく。前作とテーストを変え、エンターテイメント性たっぷりに見せつつ、救命センターで働く者たちの人物像を深く描き、重厚で骨太な群像劇に。
主演男優賞
江口洋介 「救命病棟24時」 フジ系 進藤が再び救命救急の世界で活躍するさまをあくまでクールに表現しつつ、内に秘めた医療への情熱も伝えた。“ひと屋根”のあんちゃんのイメージが強い江口だが、とにかくカッコいい進藤で、それに並ぶハマリ役を確立した。
主演女優賞
国仲涼子 「ちゅらさん」 NHK総合ほか ズンズン人の心に入り込んでいく恵里を嫌みなく、まっすぐに演じた。特に、見る者の心まで明るくする屈託のない笑顔が印象的。大役を見事に務め、朝ドラヒロインでは初の、同部門受賞の快挙を成し遂げた。
助演男優賞・女優賞
阿部寛 「できちゃった結婚」 フジ系 恋人に愛想を尽かされ慌てて司法試験の勉強に励むも、どこかクスッとさせる、英太郎ゆえの一生懸命さを表現。アドリブセンスにも感動。
平良とみ 「ちゅらさん」 NHK総合ほか 若くて元気で、優しさと愛情に満ちた沖縄のおばぁの、温かい空気を存分に表現。おちゃめな面もかわいらしさに満ち、語りかけるようなナレーションで目頭が熱くなる事も多数あった。
主題歌賞
「時代」:嵐 「金田一少年の事件簿」 日本テレビ系 3層で高支持を受け嵐が初めての栄冠!
■第31回( )
最優秀作品賞
「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」 フジ系 天才ボクサー・エイジ(滝沢)が洋菓子店の見習いパティシエに転身し、さまざまな謎を抱える従業員や客たちとケーキを通じて心を通わせる、ハートフルな異色群像劇。恋愛色の強い枠で、あえて男のドラマに挑戦、テロップ使いや伏線と謎に満ちたストーリー展開など実験的要素が多々あった意欲作。
主演男優賞
田村正和 「さよなら、小津先生」 フジ系 エリート銀行員の自信に満ちた立ち居ふるまい、ドン底に落ちた苦悩、ともに迫真の1話。自分のためだけに生きてきた小津が、生徒や同僚を守りはじめる姿も説得力満点で、うまさに舌を巻いた。また田村でないと成立しない“エラソーなおちゃめさ”で作品にほのぼのとした魅力を加えた。
主演女優賞
藤原紀香 「スタアの恋」 フジ系 一般人とはかなり感覚のズレたヒカル子をコミカルに、そしてとびきりキュートに魅せ、誰もが認めるハマリ役で同部門初受賞。どんなにマイペースでも皆に愛されるスターの輝きを表現できたのは彼女だからこそ。デフォルメされたキャラながら、恋するひとりの女性として共感を集めた。
助演男優賞・女優賞
椎名桔平 「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」 フジ系 坊ちゃん育ちな品のよさと、エイジ(滝沢)と絡む際の子供っぽさで、かわいいオヤジを好演。オーバーアクションぎみな芝居でドラマのファンタジックな雰囲気を盛り上げ、助演としてしっかり作品を支えた。
竹内結子 「ガッコの先生」 TBS系 仙太郎(堂本剛)の下宿先の娘で、小学校の同僚教師でもある素子の喜怒哀楽を分かりやすく、テンション高く演じた。仙太郎との言い合いや酒乱のシーンなどで、ドラマを明るく盛り上げた。
主題歌賞
「youthful days」:Mr.Children 「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」 フジ系 ドラマと一体化したミスチルが受賞