ドラマアカデミー賞 ‘2004

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ドラマアカデミー賞 ‘2004

■第39回(
最優秀作品賞
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「マンハッタンラブストーリー」 TBS系  喫茶マンハッタンの常連客の間で起こる恋の連鎖と大逆転。これを見守る寡黙な店長(松岡)が、客たちのため、つけひげを飛ばし正体を隠し熱く語って背中を押す! 劇中劇や再現VTRふう演出など、お約束の場面のバカバカしさもサイコーに楽しい。細部までこだわり、計算されつくした新感覚恋愛コメディー。

主演男優賞
竹野内豊 「ヤンキー母校に帰る」 TBS系  「いじめは絶対認めない!」と叫んだり、反発する生徒に「全部受け止めてやる」と訴えたりと、強い思いを伝えるシーンは目の芝居も見ごたえあり。

主演女優賞
仲間由紀恵 「トリック」 テレビ朝日系  上田(阿部寛)との絶妙な間の掛け合いもさえまくり、ラストのかすかな恋愛色ではほのぼのとした魅力を。今シリーズの特長である、内面に迫る場面では、複雑な心の揺れをサスガの表現力で、奈緒子らしくしっかり演じきった。

助演男優賞・女優賞
北村一輝 「あなたの隣に誰かいる」 フジ系  色気たっぷりの流し目や甘いささやきで、そら恐ろしくも引かれずにはいられない、作品のカギを握る重要な役どころを、妖しく魅力的に表現しきった。持ち前の強い個性も炸裂。  
小泉今日子 「マンハッタンラブストーリー」 TBS系  ガラっぱちな次の瞬間、恋する乙女モードになるなど、コロコロ変化する赤羽の感情を、シーンに合わせ突き抜けた芝居で表現。恋の急展開に「あたし、どうなっちゃうの~!?」とうろたえる姿など、不滅のキュートさが全開。

主題歌賞
「ラブラブマンハッタン」:TOKIO 「マンハッタンラブストーリー」 TBS系

 

 

■第40回(
最優秀作品賞
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「白い巨塔」 フジ系  一流の大学病院で上り詰めることに没頭する、天才的な外科医・財前(唐沢)と、医師としての信念を貫こうとする理想主義の里見(江口)。対照的な2人の対立と友情を軸に、教授選での醜い争いや、院内の不条理な常識・おごりが引き起こす医療過誤問題など、“白い巨塔”での普遍的な人間ドラマを重厚に骨太に描き、社会へも問題提起した。伝説となりうる名作に。

主演男優賞
中居正広 「砂の器」 TBS系  セリフ以上に表情で苦悩を語り、画面に引きつける存在感が。殺人の際の美しく鬼のような表情や、刑事が訪れたときの険しさ、「父ちゃん!」と叫び、本浦秀夫に戻った瞬間など、重要な場面ほど、内なるパワーを爆発させ息をのませた。

主演女優賞
上戸彩 「エースをねらえ!」 テレビ朝日系  根性娘のひたむきさや、試合場面での集中した目の色など、体当たりの芝居で初の栄冠に。大いに悩み喜ぶ等身大のヒロインで、上戸の明るくキュートな魅力を発揮した。濃いキャラが多い中、フラットな芝居で存在感を見せたのも大物のあかし!

助演男優賞・女優賞
渡辺謙 「砂の器」 TBS系  粘り強いベテラン刑事・今西役。獲物を追う気迫を“動”の芝居で、和賀の人生をたどり「宿命」の理解者となる慈愛を“静”で表現し、今西の人間的深みまで伝え、迫力の眼力で作品を引き締めた。ズバ抜けた存在感は、大部分が声のみだった捜査報告シーンにも発揮され、あの最終2話も成立させた。   
美山加恋 「僕と彼女と彼女の生きる道」 フジ系  子役と呼ぶのがはばかられる天才女優が出現! 両親の離婚を機に、父(草なぎ)との絆を深める凛役で、同部門最年少受賞。父との距離感の変化をはじめ、状況に応じた表情やしぐさ、声のトーンなど、表現の的確さは驚異的。たったひと言で喜怒哀楽まで伝えた「はい!」は社会現象になった。

主題歌賞
「やさしいキスをして」:DREAMS COME TRUE 「砂の器」 TBS系

 

■第41回(
最優秀作品賞
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「光とともに…自閉症児を抱えて」 日本テレビ系  息子・光(齋藤)の自閉症に絶望した幸子(篠原)が、障害児学級の教師・里緒(小林)と出会い、懸命に光と向き合い成長する姿を追った感動作。自閉症を正面から描き、周囲の困惑と広がる理解を温かく伝え、視聴者の自閉症に対する認識も深めた。初めて「ママ」と呼ぶ場面など、光の成長を示すエピソードや、幸子と里緒の絆の描き方も秀逸で、喜びの涙を存分に流させた。

主演男優賞
妻夫木聡 「オレンジデイズ」 TBS系  沙絵(柴咲コウ)に振り回されふてくされる青さや、怒り、一生懸命さ、屈託のなさなど、シーンごとの感情を的確に表情で伝え、櫂の“若さ”をみずみずしく表現した。

主演女優賞
篠原涼子 「光とともに…自閉症児を抱えて」 日本テレビ系  子育てへの不安やイラ立ち、成長を感じたときの深い喜びなど、ナチュラルにメッセージを伝える芝居で、視聴者を作品世界に引き込み、大いなる感動を共有させた。篠原のもつ明るさが暗くなりがちな作品を優しい雰囲気に変え、存分に役を生きていた。

助演男優賞・女優賞
齋藤隆成 「光とともに…自閉症児を抱えて」 日本テレビ系  ドラマの成否を握る重要な役ながら、無表情なのに、にじみ出るような表現力で視聴者にも感情をみごとに伝え、とても愛しい存在に役を昇華した。    
小林聡美 「光とともに…自閉症児を抱えて」 日本テレビ系  光たちを見つめる視点の温かさや、作品全体を包むほどの包容力を飄々とした中で伝え、「この先生なら大丈夫」という安心感を見る者にも抱かせた。気持ちのこもったせりふ回し、頼もしい主演級の存在感で自身の魅力を全開させた。 

主題歌賞
「Sign」 :Mr.Children 「オレンジデイズ」 TBS系

 

 

■第42回(
最優秀作品賞
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「世界の中心で、愛をさけぶ」 TBS系  白血病に冒された亜紀(綾瀬はるか)と、彼女を最期まで支えつづけたサク(山田孝之)の透明でピュアな恋を描いた感動作。原作、映画版にはなかった同級生との青春、サクと亜紀を見守る両親の葛藤を抑制の利いた演出で見せ、作品がもつ絶対的なせつなさを視聴者により深く伝えた。後半は、サクと亜紀の表情やしぐさ、交換していたカセットテープのメッセージ、すべてが涙を誘った。

主演男優賞
山田孝之 「世界の中心で、愛をさけぶ」 TBS系  亜紀の病状によって毎回、感情が希望と絶望の間で激しく変化する難役を本来の持ち味である繊細な演技で表現。亜紀を見つめる優しいまなざし、劇中で自然に流す涙には、彼にしか出せない純粋さがあった。

主演女優賞
天海祐希 「ラストプレゼント・娘と生きる最後の夏」 日本テレビ系  前クールに続きサバサバしている強い女性を演じたが、今作ではさらに、娘に対する不器用な愛情表現や感情の高まりをストレートに表わした涙など、難度の高い芝居を披露。幅広い演技力を証明した。

助演男優賞・女優賞
阿部寛 「逃亡者 RUNAWAY」 TBS系  インパクト大の登場シーンや、永井と対峙したときに見せた狂気の表情など、アクの強さを前面に押し出した濃い演技で、峰島がもつ危ない雰囲気を醸し出すクセ者ぶりを発揮。圧倒的な存在感と強烈な個性でドラマを引っ張った。     
綾瀬はるか 「世界の中心で、愛をさけぶ」 TBS系  彼女がいなければ今作品は成立しなかったと断言できるほど、綾瀬の絶対的にピュアな存在感がドラマの世界観を構築した。亜紀のちょっとしたしぐさに見えるかわいらしさ、最期まで“生きよう”とした気高い姿、すべてがまぶしく輝いていた。  

主題歌賞
「かたちあるもの」: 柴咲コウ 「世界の中心で、愛をさけぶ」 TBS系

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