ドラマアカデミー賞 ‘2005
■第43回(2005年01月26日)
最優秀作品賞
「新選組!」 NHK総合ほか 名もなき農民から新選組の局長となり、幕末を駆け抜けた近藤勇(香取)の生涯と、仲間たちとの友情を描いた群像劇。史実を大胆に解釈した展開は賛否両論を呼んだが、土方歳三(山本耕史)、沖田総司(藤原)をはじめ登場人物ひとりひとりの人生、背負った業を描ききり、熱き志をもった男たちの“人間ドラマ”としてみごとに成立させた。間違いなく時代劇史上に残る傑作。
主演男優賞
香取慎吾 「新選組!」 NHK総合ほか ただ武士を志す純朴な青年を演じた前半から、局長となり苦悩と葛藤の中で“鬼”へと変わっていくさまは、役と香取自身の成長がシンクロしたようなリアルさがあった。「歳…」とつぶやいた後、斬首されるラストが圧巻。
主演女優賞
米倉涼子 「松本清張 黒革の手帖」 テレビ朝日系 男を手玉に取りながら銀座の女王に上り詰めていく姿は痛快! 波子をはじめとする女たちとの戦いで見せた激しさ、元子の心の中にある“埋まらない孤独”の部分も漂わせる表現力で、強烈なインパクトを残した。
助演男優賞・女優賞
山本耕史 「新選組!」 NHK総合ほか 土方が近藤のために影に徹することを決め、「かっちゃん」から「近藤さん」に呼び名を変えた中盤以降の演技は、“もうひとりの主演”と言っても過言ではない出来。新選組を守るゆえの非情さ、その裏にある近藤との友情を完璧に表現し、新たな土方像をつくり上げた。
篠原涼子 「マザー&ラヴァー」 フジ系 篠原がもつ天性のコメディエンヌの才能が爆発。恋愛ベタな瞳が空回りして、あわわと慌てる場面でのオーバーぎみの表現や随所で見られる小芝居も彼女がやると全くしらじらしくなく、すべてキュート。
主題歌賞
「『新選組!』メインテーマ」:ジョン・健・ヌッツオ 「新選組!」 NHK総合ほか
■第44回(2005年05月02日)
最優秀作品賞
「ごくせん」 日本テレビ系 正義を貫くヤンクミのタンカやふだんのマヌケぶり、竜(亀梨)、隼人(赤西)ら美少年クラスのノリなど、魅力的な“お約束”で誰からも愛される物語に。家族や友情の大切さを直球で伝え、最終回の視聴率は32.5%を記録。
主演男優賞
江口洋介 「救命病棟24時」 フジ系 静かだが強さを秘めた語り口、毅然としたたたずまいは健在、穏やかさを増した進藤の人間的成長を違和感なく表現。絶望的な状況でも「進藤がなんとかしてくれる」と感じさせる“ヒーロー”的存在感は圧巻だった。
主演女優賞
仲間由紀恵 「ごくせん」 日本テレビ系 “タンカを切って悪を片づける姿はとことん熱く、いろんな意味でズレすぎ!な天然ぶりはとことんコミカルに”のメリハリはさらにパワーアップ。ヤンクミの表情の幅も前より広がり、仲間にしかできないキャラの魅力で作品を引っ張った。
助演男優賞・女優賞
亀梨和也 「ごくせん」 日本テレビ系 不登校に悩んだ冒頭から徐々に気を許していく芝居も巧みで、たま~に見せる素直な笑顔にはクラクラ! 作品の大きな楽しみである“イケメン”生徒の中核を担うカッコよさで大ブレークした。
長谷川京子 「Mの悲劇」 TBS系 美しさと冷淡さを兼ね備えた表情やたたずまいを前面に出して、サイコかつミステリアスな存在をみごとに演じ切った。物語の後半、真相が明らかになる中で、罪の意識にさいなまれる姿も痛々しく、これまでにない演技の幅で新境地を開いた。
主題歌賞
「優しい時間」 フジ系 主題歌「明日」は、アメリカのインストゥル音楽の巨匠、アンドレ・ギャニオンの曲を平原綾香が歌い上げたもの。森の雪景色の中、心が締めつけられるようなせつない歌声が感動を誘った。挿入歌「ありがとう」も平原の曲。
■第45回(2005年08月03日)
最優秀作品賞
「タイガー&ドラゴン」 TBS系 落語家に弟子入りしたヤクザの虎児(長瀬)と、落語を辞めたデザイナーの竜二(岡田)。二人の周囲で起こるハプニングを古典落語の展開にリンクさせて描いていく。毎回微妙に異なる古典落語とストーリーの絡み具合、超個性的なキャラクターの競演、落語を時代劇でみせる手法などどこをとっても秀逸。まさに笑って泣ける、極上のエンターテインメントに仕上がった。
主演男優賞
長瀬智也 「タイガー&ドラゴン」 TBS系 長瀬が審査員・TV記者票を制し、逃げ切るかと思われたが、読者票で木村、草なぎが猛チャージ。ほんのわずか数ポイント差で長瀬、木村、草なぎの順に。
主演女優賞
篠原涼子 「anego・アネゴ」 日本テレビ系 共に30代で独身キャリア女性を演じた篠原涼子と天海祐希の対決は、3層で1位を獲得した篠原がV。注目は総合3位の成海璃子。審査員2位・TV記者3位を獲得、読者票3位の稲森いずみを僅差でかわし入賞した。
助演男優賞・女優賞
西田敏行 「タイガー&ドラゴン」 TBS系
57歳での受賞は、平良とみ、田村正和に次ぐ歴代3位の高齢受賞。読者2位・TV記者票3位の堤が2位に。
小雪 「エンジン」 フジ系 小雪、釈由美子、森口瑶子、伊東美咲、小西真奈美の5人が数ポイント差にひしめく混戦で、最後まで全員に逆転のチャンスが。その中で小雪が読者票で抜け出しV。僅差で伊東は4位、小西が5位に。
主題歌賞
仲西匡 「タイガー&ドラゴン」 TBS系 「俺の話を聞けぇ~」のサビで作品のテーマを直球で表現してみせたクレイジーケンバンドのオープニング曲、V6のお祭り感あふれた主題歌、落語の世界観を存分に楽しませてくれた和風テイストな劇伴、すべてが完璧だった「タイガー&ドラゴン」が受賞。
■第46回(2005年10月26日)
最優秀作品賞
「電車男」 フジ系 電車内で酔っ払いから美女・沙織(伊東)を助けたオタクの剛司(伊藤)が、ネット掲示板で恋愛相談をしながら沙織に告白するまでを描く。個性的なネット住人やオタク文化の描写など、コメディーとして一流でありながら、毎回感動できるエピソードを盛り込み、人間ドラマとしても完成度の高さを見せた。出演者全員がハマリ役といえる、質の高いキャスティングも光った。
主演男優賞
阿部寛 「ドラゴン桜」 TBS系 各層の評価はほぼ一致し、順当に伊藤、妻夫木が続いた。次点は審査員票2位の「菊次郎とさき」陣内孝則。
主演女優賞
天海祐希 「女王の教室」 日本テレビ系
2位は各層で安定した支持を得た鈴木杏。審査員票、読者票で鈴木を抑えた伊藤美咲が3位となった。
助演男優賞・女優賞
伊藤淳史 「電車男」 フジ系
仲村トオルと錦戸亮が激しく競り合い、TV記者票でわずかに上回った錦戸が2位に。
白石美帆 「電車男」 フジ系 リードを守った白石が初受賞に輝いた。志田は読者票1位と大健闘したが、手堅く票を集めた高島が僅差で競り勝ち2位となった。
主題歌賞
武内英樹 「電車男」 フジ系 OPのエレクトリック・ライト・オーケストラにテクノミュージック、純愛にマッチしたEDのサンボマスターまで、音楽オタクも納得のセンス。次点はaikoの主題歌がハマった「がんばっていきまっしょい」。