ドラマアカデミー賞 ’96

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■第8回(1996年03月19日)
最優秀作品賞
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 「白線流し」フジ系  同名ドキュメンタリー(’92年)に端を発した、長野県松本市の進学校に通う高校3年生の青春群像劇。長期ロケを敢行し、松本の四季を織り込みながら青春の苦みをこまやかに描いた脚本、地に足のついた演出で、長瀬智也、酒井美紀ら若手役者陣の個性を引き出した。岩代太郎氏による叙情的な劇中音楽も秀逸。

主演男優賞
田村正和 「古畑任三郎」フジ系  古畑の独特なしぐさや語調の、とどまるところを知らないユニークさ、それをまったく嫌味なくひたすら楽しく見せる“芸”は「サスガ!」のひと言。

主演女優賞
和久井映見 「ピュア」フジ系  和久井は素をまったく感じさせずに、“月9”史上最も愛らしく純粋なヒロイン・優香をつくり上げた。初めて恋する気持ちを知った優香の戸惑いの表情には、“真実”がありました。

助演男優賞・女優賞
西村雅彦 「古畑任三郎」フジ系  つれない古畑(田村)に必死でくっつく姿など細かい演技のすみずみまで、とにかく笑えた。  
宝生舞 「銀狼怪奇ファイル」日本テレビ系  年齢相応の幼さも母性も表現。エキゾチックな“目”の魅力を十分に生かしており、シリアスな場面での目には力があった。

主題歌賞
「空も飛べるはず」:スピッツ 「白線流し」フジ系  素朴さを重視したサウンドと伸びやかな歌声、シンプルなメロディーが、淡く切ない青春群像劇にみごとにハマった。進路に悩む主人公たちの心情と重なる歌詞にも胸を締め付けられた。選曲の勝利! 

 

 

■第9回(
最優秀作品賞
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 「ロングバケーション」フジ系  こまやかな脚本、役者のもち味を引き出した雰囲気のある演出、ツボを刺激する音楽が主演2人の“演技”を超えたかのようなぶつかり合いを引き出し、極上のドラマに仕上げた。

主演男優賞
木村拓哉 「ロングバケーション」フジ系  ピアニスト・瀬名役。他人に心を開けないことが演奏にも影響し悩んでいたが、奔放な南(山口智子)と出会って変わっていく。山口との即興的な会話の中には、木村自身の感情が瀬名に乗り移ったようなスゴ味が。

主演女優賞
山口智子 「ロングバケーション」フジ系  物語前半の、テンションの高いはしゃぎぶりが、後半の迷い悩む女らしさに深みを与えた。

助演男優賞・女優賞
竹野内 豊 「ロングバケーション」フジ系  男の色気を漂わせ、新たな魅力を見せた竹野内に、メロメロになった女性も多いはず。山口智子や木村拓哉との会話も、リズム感のある絶妙の間でキメました。  
稲森いずみ 「ロングバケーション」フジ系  “桃ちゃん語”ともいえる不思議なことばも印象的で、留守電の録音合図は「あっちょんぶりけ」だった。

主題歌賞
「いいわけ」:シャ乱Q 「Age,35 恋しくて」フジ系  エキセントリックかつねっとりとしたボーカルは、不倫のドロドロにベスト・マッチ。ドラマをスリリングに盛り上げた。挿入歌もシャ乱Qが担当。 

 

■第10回(
最優秀作品賞 
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「真昼の月」 TBS系  レイプされた女性・舞永(常盤貴子)の苦しみと、彼女を支える直樹(織田裕二)の愛情を軸に、“心の傷(トラウマ)の克服”という大テーマを追求した作品。恋愛モノが少なかった今期、直樹の無償の愛と優しさにハマッた女性ファン多し。“医療”の側面にもまじめに取り組み、リアルさをもたせることにも成功した。

主演男優賞
織田裕二 「真昼の月」 TBS系  トラウマを抱える舞永(常盤貴子)に愛を注ぐ、これでもかというほど“いいヤツ”な直樹役で、アクの強い役とはまた違ったナチュラルな魅力を発揮。なにより、持ち前の“ウソのない演技”が見る者の心を打った。

主演女優賞
常盤貴子 「真昼の月」 TBS系  レイプされるシーンをはじめ、忌まわしい過去を思い出しパニックに陥るなどの激しい芝居に文字どおり体当たりで挑み、レイプされた女性のショックを、説得力をもって表現した。

助演男優賞・女優賞
玉置浩二 「コーチ」 フジ系  今回は希望により最優秀助演男優賞を辞退されました。「ですよね~」が口グセで、人情にブ厚く、色恋にはウトい超楽観主義者・清太郎像のユニークさは、今期の強烈な収穫でした。   
飯島直子 「真昼の月」 TBS系  難しい医療用語だらけのせりふにも果敢に挑んだ。好感度の高いアネゴ肌は文句なしのハマリようだったけど、そろそろ女っぽ~い役も見たいです。

主題歌賞
「Another Orion」:藤井フミヤ 「硝子のかけらたち」 TBS系  本人が作詞を手がけた美しいバラード。ドラマのラストで流れて、ある種悲惨なストーリーを優しく、せつなく包み込んだ。のびやかな歌唱は「サスガ」のひと言。  

 

 
■第11回(
最優秀作品賞
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 「秀吉」 NHK総合ほか  豊臣秀吉の生涯を、サラリーマン社会の出世物語のような味付けで描いた意欲作。明るさとバイタリティで出世街道を駆け上った秀吉を竹中直人が怪演。現代ふうの脚本、凝ったカメラワークを、エンターテインメント性に徹して新たなファンをつかんだ。渡哲也(織田信長)、市原悦子(なか)などなど名演数知れず!

主演男優賞
香取慎吾 「ドク」 フジ系  外国人を演じてもまったく違和感がなかった香取。カタコトの日本語で自分の夢をことば少なに語るベトナム人青年・ドクの深い知性と優しさ、純粋さを、抑えた演技で過不足なく表現した。髪形も印象的。 

主演女優賞
酒井法子 「続・星の金貨」 日本テレビ系  同じ役で貫禄漂う2度目の受賞。正義感が人一倍強く心優しい彩が、苦難に負けずまっすぐに生きていくさまを、ますます豊かな表情と美しい手話で文字どおり熱演した。心の底で秀一(大沢たかお)を思う愛の深さもみごとに演じきった。

助演男優賞・女優賞
竹野内 豊 「続・星の金貨」 日本テレビ系  一見軽いけどいちずな拓巳に襲い掛かる不幸に、怒り、泣き、苦悩した今回。たとえ報われなくとも、彩(酒井法子)を愛しつづける姿がせつなく、女性ファンの心をわし掴みに。迫真の演技にも胸を締めつけられました。    
永作博美 「ひとり暮らし」 TBS系  物語が進むにつれしだいに本性を現わす恭子の美歩に向けられるアツ~イまなざしには思わず圧倒された。ときどき見せる寂しそうな目が、恭子の不幸を物語っていた。 

主題歌賞
「PRIDE」:今井美樹 「ドク」 フジ系  布袋寅泰プロデュースのメロディアスなバラード。女性の自立心と恋愛観をうたった詞は、まっすぐに生きるドク(香取慎吾)と出会って変わっていく雪(安田成美)の生き様や心情にピッタリ。伸び伸びとした高音がせつなさを盛り上げた。 

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