ドラマアカデミー賞 ’98

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ドラマアカデミー賞 ’98

■第16回(
最優秀作品賞
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 「聖者の行進」 TBS系  小さな工場で働く知的障害者たちが、搾取や暴行を受けながらも純粋な心を失わず、教師(酒井法子)や弁護士(いかりや長介)の力を得て悪を糾弾。残酷な暴力シーンや障害者の描写について批判を受けたが、ドラマ界のタブーに挑戦しながら人間の尊厳を描き、多くの人に感動とメッセージを与えた。

主演男優賞
いしだ壱成 「聖者の行進」 TBS系  技巧を感じさせない迫真の演技はもはや圧倒的。美しく強い心をもつ知的障害者・永遠の慈愛にあふれた目の表情や、「~でしょ」という口調やナレーション、そのすべてが心に残った。   

主演女優賞
鈴木保奈美 「ニュースの女」 フジ系  ヤな女ぶりを豊かな表情で思いきり潔く演じ、憎めない爽快なキャラクターに仕上げた。滝沢秀明との掛け合いも実にコミカル。

助演男優賞・女優賞
滝沢秀明 「ニュースの女」 フジ系  精神年齢の高いクールな高校生・龍役でついに受賞。個性派俳優に囲まれながらも、恋に戸惑う瞳や、ふてくされ顔や、ぶっきらぼうなしゃべり方が過不足ない演技で際だち、敵ナシの愛らしさを見せた。      
鈴木京香 「きらきらひかる」 フジ系  前を開けた白衣姿と毅然とした物言いはシビレるほど華やかでりりしかった。冷たさの奥に人を包み込むような優しさがある“大人”な人間性を表現できるのは懐の深い証拠。

主題歌賞
「さすらい」:奥田民生 「DAYS」 フジ系  テンポのいいギターサウンドに乗せた「さすらおう」という本気の歌声はまさにロックで、この曲が悩める20歳の背中を「それでいいのだ」とひと押し。ひょうひょうとした独自の世界観とマイペースな少年ぶりがドラマとさわやかにマッチ。

 

 

 ■第17回(
最優秀作品賞
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 「ショムニ」 フジ系  この期からフジの6番目の現代ドラマ枠としてスタートした水曜夜10時作品第1弾。傍若無人な豪快OL・千夏(江角マキコ)率いる社内の掃きだめ部署・庶務二課(通称・ショムニ)の面々が強烈な個性と団結力で会社のゆがみを矯正。役柄や映像を徹底的にデフォルメする潔さが、働く視聴者のストレスを解消。

主演男優賞
竹野内 豊 「WITH LOVE」 フジ系  仕事にも恋にも情熱をなくしていたCM音楽家・天(たかし)役。どんな役もハマり役に見せてしまう変身ぶりが高く評価されていた彼が、クールな偽悪者の表の顔と、裏側で恋する心の揺れを静かで豊かな表情で魅せた。

主演女優賞
江角マキコ 「ショムニ」 フジ系  きっぷのいいせりふ回しで繰り出される「楽しくない仕事は仕事じゃない!」など、さまざまな“千夏語録”が幅広い層に受け、演じる彼女の豪傑ぶりも吹っ切れていて爽快だった。超ミニの制服姿も迫力に拍車をかけるかっこよさ。

助演男優賞・女優賞
岸谷五朗 「ブラザーズ」 フジ系  威圧的で高飛車な長男・真文(しんぶん)役。膨大なセリフを歯切れよくリズミカルにまくしたてて笑わせ、大人の男の優しさで泣かせる。緩急の効いた芝居と多彩な芸がドラマに厚みをもたせた。 
木村佳乃 「ブラザーズ」 フジ系  奇妙な日本語で突拍子のない行動を繰り返す、ハチャメチャな服装のノー天気娘を演じた。常識外れだが憎めないキャラクターに体当たりで挑み、紅一点のトリックスターに。

主題歌賞
「DESTINY」:MY LITTLE LOVER 「WITH LOVE」 フジ系  このドラマのために書き下ろされた曲は、マイラバらしいひねりの効いたバラード。サビに向かって高揚していくAKKOのせつないボーカルが壮大なメロディーと合体して、劇中の恋愛のドラマチックな展開を期待させてベストマッチ。

 

 

 ■第18回(
最優秀作品賞 
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 「神様、もう少しだけ」 フジ系  厭世的な売れっ子音楽プロデューサー(金城武)と、たった一度の援助交際でHIVに感染し、絶望しながらも必死に前向きに生きる女子高生(深田恭子)。2人は愛し合うことで、生きる希望を取り戻す。出会いから結婚・出産までを、HIVについての正確な情報を盛り込みつつドラマチックに見せた感動作。

主演男優賞
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金城武 「神様、もう少しだけ」 フジ系  カリスマ的な人気を誇るが、わがままでクールな音楽プロデューサー・啓吾役。前半の厭世的な無表情、立ち姿の存在感、後半の笑顔や高ぶる感情表現の豊かさ。型にハマらない演技で、ドラマファンを魅了した。

主演女優賞
中谷美紀 「ハルモニア・この愛の涯て」 日本テレビ系  チェロと出会い、涙を流し瞳の奥でほほえむ、その表現の微妙さは鳥肌もの。鬼気迫る演奏シーン、生きる屍となった後半のたたずまい、かすかに声を発するラスト…。とにかく目を離すスキを与えず連ドラ史に異色のヒロインを創造。

助演男優賞・女優賞
上川隆也 「青の時代」 TBS系  善の顔は優しく正しくてお人よしで、悪の顔は計算高く悲しくどこまでも怖い二重人格者の弁護士・榛名役。善の顔の自然な誠実さと悪の顔の徹底的な非情さ、わかりやすい表現に徹しながらも、安っぽさを感じさせず演じきったところに、舞台で培った芝居の幅広さと底力を見た。  
深田恭子 「神様、もう少しだけ」 フジ系  HIVに感染しながらも希望と勇気を失わずに生きる真生(まさき)役が反響を呼んだ。普通の女子高生の日常から、まっすぐな啓吾(金城武)への愛情まで、ひたむきな演技が真生の生きざまをリアルに見せ、視聴者を励ました。

主題歌賞
「I for You」:LUNA SEA 「神様、もう少しだけ」 フジ系  曲調も、究極の恋愛を歌った歌詞も、啓吾(金城武)と真生(深田恭子)が必死に生きながら愛し合う姿にシンクロし、描かれるせつない心情を盛り上げた。劇中歌「In the sky」「きらら」も好評。

 

 

 ■第19回(
最優秀作品賞
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 「眠れる森」 フジ系  これまで、描くのが難しいとされてきた連続ドラマでのミステリー。幼いころの記憶を失いかけた女性(中山美穂)が彼女につきまとう男(木村拓哉)や婚約者(仲村トオル)の力を借りて自分の家族を殺害した真犯人を捜す。本格的な謎解きに、封印された自分の過去を知る怖さを盛り込んで多くの支持を獲得。

主演男優賞
木村拓哉 「眠れる森」 フジ系  前半最も怪しい存在として見る者を引きつけ、後半は自我を抑え実那子(中山美穂)を守る直季の悲哀や葛藤を巧みに表現した役づくりに脱帽。

主演女優賞
中山美穂 「眠れる森」 フジ系  フラッシュバックで事件を思い出す場面の演技は迫真に満ち、張り詰めた緊張感があった。自分の過去を求めて森をさまよう場面にも引きつけられるものが。

助演男優賞・女優賞
吹越満 「殴る女」 フジ系  セリフ回し、間の取り方、コミカルな表現での舞台出身の底力はさすが。ストイックな表情も、ひょうひょうとした姿も巧みに演じ分け、熱血ドラマをそれだけで終わらせない力量にはうならされた。  
ともさかりえ 「タブロイド」 フジ系  主人公・咲(常盤貴子)としのぎを削る中で、“できる女”のプライドや貫禄を、冷めたしぐさ&少し早口なセリフ回しなどで表現。相変わらずの演技派ぶりに加え、これまでにない魅力を見せた。

主題歌賞
「カムフラージュ」:竹内まりや 「眠れる森」 フジ系  歌詞の絶妙さだけでなく、山下達郎のコーラスから始まるメロディアスな曲調からは、「眠れる森」から連想されるやすらぎすらも伝わってくる。

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